住宅市場で「築浅の中古戸建て」が売りに出されていると聞くと、多くの人は「なぜそんな新しい物件を手放すのか?」と疑問に思うかもしれません。新築に近い状態の住宅が市場に出る理由はさまざまであり、一般的な「古くなったから売る」というシナリオとは異なります。この記事では、その理由を深掘りし、築浅の物件の購入を検討する際の注意点についても考察します。
1. ライフステージの変化
築浅の中古物件が売りに出される最も一般的な理由の一つは、持ち主のライフステージの変化です。たとえば、転職や転勤により勤務地が変わり、現在の住居が不便になったケースが挙げられます。また、結婚や出産を機に家族構成が変わり、より広い家や学区の良い地域に移りたいと考える人もいます。このような理由は決して物件の欠陥を意味するものではなく、所有者の事情によるものです。
2. 経済的な理由
住宅を購入した後に予測していなかった経済的負担が発生することもあります。例えば、住宅ローンの返済が想定以上に負担となり、支払いを続けるのが難しいと感じることがあります。また、失業や収入の減少などの経済的困難に直面した場合も、築浅の住宅が売りに出される理由の一つです。
3. 周辺環境への不満
住宅を購入した当初は理想的と思われた環境が、実際に住んでみると期待と異なることもあります。たとえば、騒音や交通量、隣人とのトラブルなど、生活の質を低下させる要因があるかもしれません。また、子育て世代の場合、子どもが成長するにつれて地域の教育環境や周辺施設が不十分と感じることもあります。これにより、築年数の浅い家であっても手放し、新たな地域への引越しを検討することになります。
4. 住宅そのものの問題
築浅の住宅は、新築住宅と同様に新しい技術やデザインが採用されていることが多いですが、建設中に生じた施工ミスや建材の問題によって不具合が発生することがあります。これにより、持ち主は期待外れとなり、売却を決断することがあります。特に短期間で売りに出される物件については、そのような問題が潜んでいる可能性があるため、購入を検討する際には建物の状態を十分に確認することが重要です。
5. 不動産市場の変動
不動産市場の動向も築浅物件の売却理由に影響を与える要因です。例えば、不動産の価格が上昇しているタイミングで購入した物件の価値が予想外に下がった場合、早期に手放して損失を最小限に抑えたいと考える売り手がいます。逆に、市場価格が上昇し、利益を得られるタイミングと判断して売却に踏み切るケースも見受けられます。
6. 投資目的での売却
築浅の住宅は、新築同様の設備や構造を備えているため、投資家が短期間で利益を得るために売却することもあります。購入から数年で物件を売却し、次の投資先に資金を回すことが一般的です。この場合、物件の状態は良好であることが多いものの、投資目的での売却という視点を持って検討することが必要です。
築浅物件を購入する際の注意点
築浅物件には、新築と比較して価格が抑えられていることが多く、手頃な選択肢となります。しかし、購入前には以下の点を確認することをお勧めします。
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物件の履歴調査:売却の理由を不動産業者や売り主に確認し、住宅の履歴や修理履歴を調査しましょう。
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周辺環境の確認:昼夜や平日・休日に実際に訪れて周囲の雰囲気や交通状況を確認します。
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専門家による調査:建築士やインスペクターによる専門的な建物診断を依頼し、見えない問題が潜んでいないかを確かめましょう。
結論
築浅の中古戸建てが売りに出される理由は一概には言えませんが、多くの場合は売り主の個人的な事情や市場の状況によるものです。物件そのものに重大な欠陥があるケースも考えられますが、しっかりとした調査を行えば、優れた物件を見つけることもできます。購入を検討する際には、慎重に情報を集め、信頼できる専門家の意見を取り入れることで、安心して取引を進めることができるでしょう。
監修者情報:梅本 征吾 (うめもと せいご) 株式会社リノバンク代表。1979年京都府生まれ。中央大学大学院 戦略経営研究科卒 リクルートにて営業、経営企画、新規事業のインキュベータ―を担当後、2020年より FANTAS technologyにて、 新規事業の責任者として空き家事業、クラウドファンディング事業等、複数の新規事業を管轄。 新規事業をスピンアウトする形で、空き家活用スタートアップRENOBANKを創業。