近年、新築住宅の価格高騰を受け、中古戸建ての購入を検討する方が増えています。
確かに、
物件価格だけを見れば新築より数千万円も安く購入できる可能性があり、
魅力的な選択肢に映るでしょう。しかし、その**「安さ」
に惹かれるあまり、想定外の失敗を経験する人が後を絶ちません。今回は、実際にあった失敗事例を基に、中古戸建て購入時の落とし穴と対策**について詳しく解説していきます。
■失敗事例1:リノベーション費用が読めず、予算オーバー
【ケーススタディ】
物件価格2,500万円の中古戸建てを検討していたAさん(35歳)。「キッチンとお風呂だけ直せば大丈夫そう」と考え、300万円のリノベーション予算を設定していました。しかし、実際に蓋を開けると...
- 屋根や外壁のクラック
- 給排水管の老朽化
- 天井・壁のクロスの劣化
結果として、想定よりも大幅なリフォーム費用が必要と判明し、予算オーバーで購入を断念することに。
【対策】
中古戸建ては物件価格とリノベーション費用をセットで考える必要があります。築年数や状態により比率は変動するため、一概には検討できません。しかし、リノベに強い不動産会社と内覧に行くことで、大体のリノベーション費用が把握できるため、購入前に判断がつけやすいです。
■失敗事例2:分離融資で「金利の罠」にはまる
【ケーススタディ】
築25年の物件(2,500万円)を購入したBさん(40歳)。リフォーム費用500万円を別途借り入れたところ...
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住宅ローン(2,500万円):変動金利0.7%
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リフォームローン(500万円):固定金利3.8%
→ 月々の返済額が想定以上に膨らみ、家計を圧迫。
【対策】
リフォーム一体型ローンを活用することで、物件購入費用とリフォーム費用を一本化し、住宅ローンと同水準の金利で借入可能となります。金融機関によってリフォーム一体型が可能かどうか、借入可能額が異なるため、中古戸建て+リノベーション購入に強い事業者を探すことが得策です。
■失敗事例3:好条件物件を逃してしまう
【ケーススタディ】
駅徒歩8分、築18年の物件(3,000万円)を検討していたCさん(45歳)。「リフォームの見積もりを取ってから決めよう」と慎重に構えていたところ...
- 見積もり取得に2週間
- その間に他の購入者が決定
- 同エリアで同条件の物件が見つからず、妥協を強いられる
【対策】
事前準備の徹底が非常に重要です。相場的に安い物件は非常に貴重で人気が高く、多くの問い合わせが発生します。そのような物件を確実に購入するためには、以下の対応が必要です:
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仮審査などを通じて自身の予算をしっかりと把握しておく
- 中古戸建て購入とリノベーションの一体型が可能な金融機関で仮審査を通す
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リノベーションの知識が豊富な事業者に仲介を依頼する
■失敗事例4:住宅ローンが通らない物件を選んでしまう
【ケーススタディ】
築40年の物件(1,800万円)に一目惚れしたDさん(38歳)。購入を決意し、金融機関に相談したところ...
規定の建築基準を満たしておらず住宅ローンが降りないという結果に。
【対策】
相場より非常に安い物件は、以下の項目に該当していないか確認が必要です。以下は住宅ローンが組めない物件の代表例です:
- 接道条件を満たしておらず再建築不可
- 建ぺい率・容積率のオーバー
- 地目が田・畑
- 市街化調整区域
- 前面道路が狭い
【まとめ】
中古戸建ての購入は、適切な準備と知識があればコストパフォーマンスに優れた選択となります。しかし、物件価格の安さだけに着目すると、さまざまな落とし穴にはまる可能性があります。重要なのは以下の3点です:
- 物件価格とリノベーション費用を総額で考える
- 資金調達手段を事前に確保する
- 迅速な意思決定ができる体制を整える
田中 颯馬(たなか そうま) 京都府出身。近畿大学経営学部卒業。 学生時代に古民家を改修して地域利用の場を提供し、空き家問題に感化。 不動産ベンチャーにて空き家事業の事業開発を3年経験後、創業メンバーとしてリノバンクへジョインし、 不動産仲介、WEBデザイン、フロントエンジニアリング、マーケティング、事業開発と幅広く担当。